ディン・Q・レ展:明日への記憶 Dinh Q. Lê: Memory for Tomorrow 森美術館(3)
2015年 09月 21日
【以下森美術館のサイトからの引用です】ディン・Q・レはカンボジアとの国境付近のハーティエンに生まれ、10歳の時、ポル・ポト派の侵攻を逃れるため、家族とともに渡米しました。写真とメディアアートを学んだ後、ベトナムの伝統的なゴザ編みから着想を得た、写真を裁断してタペストリー状に編む「フォト・ウィービング」シリーズ(1989年~)を発表し、一躍注目されることになります。また、レは綿密なリサーチとインタビューに基づき、人々が実体験として語る記憶に光を当てます。国際舞台への出世作となった映像インスタレーション作品《農民とヘリコプター》(2006年)では、自作のヘリコプターの開発に挑むベトナム人男性を中心に、ベトナム人と戦争との複雑な関係を巧みに描き出しました。
ベトナム戦争終結から40年、日本にとっては戦後70年の節目を迎えたいま、国家や社会の「公式な」歴史の陰で語られることのなかった市井の人々の名もなき物語を読み直しつつ、アートと社会のより密接な関わりを探ることはきわめて重要な課題ではないでしょうか。本展ではディン・Q・レの作品とユニークな活動を通して、私たちの過去と現在、そして未来について考えます。【以上森美術館のサイトからの引用です】
《父から子へ:通過儀礼》From Father to Son: A Rite of Passage 2007
ベトナム戦争を描いた代表的なハリウッド映画である『地獄の黙示録』(1979)と『プラトーン』(1986)において、それぞれの主役を演じるマーティン・シーンとチャーリー・シーンは実際の親子である。レはこれらの映画を編集して似通った場面を二面のスクリーンに並べて投影し、戦争体験を共有する親子の姿を表現する。戦争に行くことによって父や祖父が体験したことを知ろうとする若者が多いことに気づいたレは、戦争を男性にとっての通過儀礼のように扱う伝統に対して疑問の目を向けている。
《抹消》Erasure 2011
壊れたボートと夥しい数の家族写真。作家自身を含む、世界中の難民の体験が伝わってくる。
《南シナ海ピシュクン》South China Sea Pishkun 2009
ベトナム戦争最後の日、脱出のために米軍のヘリコプターが続々と軍艦に着陸、次の機のために船上のヘリコプターを海に廃棄した出来事を、ネイティヴ・アメリカンのバッファロー狩りの様子に例えた作品。
《ポルノ、あります》Porn Here 2009
《原付修理します》Bicycle Repair Signals 2009
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