鉄ひげ博士の野外劇 ハン・ミュンデン ドイツ
2003年 08月 17日
2003年の夏、ブレーメンからフランクフルトまで鉄道を利用して旅をしました。途中の宿は予約せず、前日にガイドブックを見てから行き先を決めるという気ままな旅です。
木組みの家で有名なハン・ミュンデンという人口2万6千人くらいの小さな町に着きました。夏の間の日曜日、町の中心にあるマルクト広場では、かつてこの町に住んでいたという「鉄ひげ博士」の野外劇が上演されます。1時間以上の長い劇なのですが、大人たちは登場人物になりきって楽しそうに演じています。一方、写真の少年は、最初から最後まで舞台の隅で旗を持って立っているだけでした。早く終わらないかな、退屈だなという雰囲気でした。ところがカメラを向けると、憂いを含んだ、きりっとした表情でこちらをじっと見つめてくれました。そしてシャッターを切ると、途端ににっこり笑います。2枚目を撮ろうとカメラを向けるとまた元の表情に戻り、撮り終わるとまたにっこりです。
この劇にはもう少し年上の少女も出演していました。この少女は、カメラを向けると睨むような視線でこちらを見ます。怒っているのかと思うと、やはり撮影後は微笑んでくれました。もちろん、こちらも撮らせてくれてありがとうの気持ちを込めて笑顔を返しました。
カメラ越しにお互いの気持ちが行き来したのかなと、自己満足の一瞬でした。
【この記事は、以前ホームページに書いた文章に加筆修正したものです。】